もと猫雑貨Paraisoの楽園日記

私は普段から旅行の際、最小限の荷物で出かけるようにしています。
この巡礼の旅も出来るだけ少なくしてはいるものの、９キロ弱の荷物を常に背負っての旅なので、毎日昼近くになると、ザックごと投げ捨てたい衝動に駆られます。

そのザックの中身は、Tシャツと下着など３セット三日分、寝袋、水筒、フリースのジャケット、合羽上下、小さな折りたたみ傘、カメラ、フィルム、洗面道具、わずかな化粧品、文庫本、スペイン全土の地図、ポケットスペイン語会話、スニーカー（途中でトレッキングシューズを買ったので）、ゴム草履、ノート一冊と筆記用具。
これと、おやつになるフルーツやビスケットなども少し入れていました。
あと、帽子とステッキは体の一部みたいになっていましたね。

ある時、少しでも荷物を軽くしようと思って、本とスペイン語会話をアルベルゲの本棚に置いて来ました。この時に手放した本はパウロ・コエーリョの「星の巡礼」です。旅のガイドと暇つぶしになればと思って持って来ましたが、昔一度読んでいたし、とにかく軽くしたかったので、未練は全くありませんでした。
ザックに余計なものが入っているのは許されません（自分で）。レシート一枚、ムダに背負って歩きたくない心境なのです。

昔から、サンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼者は、シンボルとも言える白いホタテ貝の殻を、ぶら下げて歩いていました。今でもザックにつけている人は多いです。
私も初めは、どこかみやげ店で手に入れて、是非つけたいと思っていましたが、もうここまで歩いて来てからは、「そんな余計なものを持ったら重くなる」と、まったく付ける気がなくなっていました。
バカバカしい話です。別に５０ｇ程度荷物が増減したからって大した影響なんてないのはわかっているのに、ほんのわずかでも、昨日よりは軽くしたからがんばろうって、自分に言い聞かせたいのです。　






趣のある町並みが私達を迎えてくれます




さて、この日は半日単調な野原の砂利道を歩いて、ベロラドという町までやって来ました。
昼頃着いた教会のアルベルゲはまだ閉まっていて、多くの巡礼者が入り口で待っています。
私とマリアノ、ホアンの3人もザックを下ろして待つことに。
そこへ、小柄なフランス人男性の巡礼者が来て、「ここから5分程行ったところにペンション（安いホテル）のアルベルゲがあって、６ユーロで泊まれる」という情報をくれました。
私たち3人は、その男性についてそっちへ行く事にしました。

巡礼者用の6ユーロのベッドは、二段ベッドがびっしりの部屋で、もう下段は全部埋まっていました。
ホアンは体が重いのでベッドの上段は苦手というか、絶対にイヤらしく、普通の客室に泊まることにしていました。

宿にはインターネットがあって、スペインに来てはじめて、家と友人に短いメールを送ることが出来ました。

夕方、ひとりで街のバルで立ち飲みしていると、隣にいたスペイン人の紳士が、どこから来たのかと英語で話しかけて来ました。
サンチャゴ・デ・コンポステーラまで歩いて巡礼中だというと、その人はそのサンチャゴのあるガリシア地方の出身で、仕事でスペイン中を回っているとの事。
ガリシアは気候も食べ物も最高で素晴らしいと話していました。郷土愛に溢れています。
自分は歩いて巡礼をする気はないけれど、応援しているから、がんばって！と労ってくれて、ワインを一杯ごちそうしてくれました。

夜は9時ちょっと前にマリアノ、ホアンと別のバルで落ち合って、3人で週末恒例のサッカー、スペインリーグ、最終節の観戦をしました。前半戦だけ見て帰ると後が気になりますが、ホアンが携帯ラジオで続きを聞いているので、翌朝には結果を教えてくれるでしょう。

－つづく－


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