17日目の朝、フロミスタのアルベルゲで朝食のチョコラータ(ドロっとしたココア)を出してくれました。今朝は7時の出発。ルイシは別行動。
私は右足が不調でかなり遅れて歩きました。
ここからの道は全くの平らで私にはとても退屈でした。
車道の横に、巡礼者用の舗装されていない道があって、そこを安全に歩けるようにはなっていますが、真っ直ぐで景色も変らないのでうんざりしてきます。
午前中にたどり着いた村で一息、素敵なイグレシア(教会)の中を見学してからバルで休憩です。
すでに顔なじみのペドロとサルバドールに会いました。ペドロはいかにも女好きな色気のあるおじ様で、女性に会うと挨拶より先に必ずウインクをしてくるのです。まぁ、女性扱いされてるってことで嬉しい限りですが。
バルは巡礼者の憩いの場であり社交の場であり、用足しの場なのです
その後も単調な道をひとり歌うたいながら歩きました。
いつもまず口をついて出るのは
♪人生らくありゃーく~もあるさ~~♪
♪泣くのがいやならーさぁ~あるーけ~~♪
今日は19km歩いて、カリオン・デ・ロスコンデスに到着しました。
アルベルゲでちょっと休んでから、ホスピタレロ(アルベルゲの管理人)の奥さんに評判のいいレストランを教えてもらって出かけました。
スペインでは2時から3時にかけてが一般的昼食時間で、食堂も一番混んでいます。
少し待ってから、きれいなテーブルクロスのかかった、いつもよりちょっと高級そうなテーブルに案内されました。席についてメニューを渡されると、いつもおなじみの、ホアンによるデモンストレーションが始まります。
メニューを初めから読み上げると
「いいかいスエルテ、サラダはわかるよな、スープはニンニクとパンが入ってるやつだ、
それとこれは・・・緑の野菜を煮たもの、この中から1つ選ぶんだぞ。メインは…1つが豚肉の焼いたの、あのブーブーってやつな、あとこれは牛だ、あの闘牛で出てくるモーモーってやつだ。それから、これはコケコッコーっていう鶏、最後はこのくらいでかい魚、白身のやつ、わかる?」
そうやって、ひとつひとつ身振りと動物の鳴き声を交えて、私にスペイン語で書いたメニューの説明をしてくれるのです。チキンやビーフは説明なくてもわかっていたけど、このデモンストレーションが見たくて、私はいつも最後までよくわからないような顔をして真剣にホアンの説明を聞いていました。
私は野菜の煮たのと魚料理にしました。
外国でレストランに入り適当にオーダーすると、当たりはずれがあるものです。自分の想像していたのと違うものが出て来て、しかもマズいとなると、レストランに入るのが億劫になったりします 。私はラッキーなことにいつもホアンの解説がついていたので、毎食かなり思い通りの食事が楽しめました。
巡礼者の中にはレストランは利用しないで、パンや缶詰、果物で毎食質素にしている人もいます。
私達は、一日一食はちゃんと温かい美味しい食事を取るようにしていました。
フルコースで贅沢に見えますが、日替わりの巡礼者定食(メヌー・デ・ペレグリノ)なので、前菜、メイン、パン、デザート、ワイン、水がセットで7~10ユーロ(1,000円~1,500円)程度です。
これを、昼か夜のどちらかで食べて、あとは簡単な食事にするのです。
私は体が小柄なのですが、食事は男の人と同じものを毎日残さず綺麗に平らげていました。
それを見てホアンは言いました
「なんで同じだけ食べていてオレはこのお腹で、キミはそんなにやせっぽちなんだろうな?一体食べたものはどこに行くんだ?」
私も不思議でした。なぜあんなに食べられたのでしょう?
スペインの食事には必ずPostreポストレ(デザート)がつきます。
フラン(プリン)はほとんど外れなく美味しいです。
でも、果物のバナナやリンゴを選ぶと、丸のまま、皮付きでお皿に載って来ます。
これをスペインの人は自分で切って皮むいて食べるのです。バナナもナイフとフォークできれいに食べてました。
エラード(アイスクリーム)を選ぶと、美味しいシェフの手作りが出てくることもあれば、紙にくるんだ棒つきキャンディーがお皿に載って来ることもありました。
こういうのは、周りですでに食事をしている人を見て判断するのがいいようです。
食後宿に戻るとルイシも同じアルベルゲに到着していました。
夕方、乾いた洗濯物を取り込んでいたらホスピタレロのおばあさんが私の5本指ソックスを見て
「ねこちゃんの足みたい!」と言っておもしろがっていました。確かにいろんなところで、5本指ソックスは不思議がられました。そのうちヨーロッパでも流行るかもしれませんね。
-つづく-
前回のお話↓
スペイン巡礼の旅22 謎のルイシおばさん
スペイン巡礼の旅を初めから読む↓
スペイン巡礼の旅 1