スペイン巡礼の旅9 はじめてのリーガ観戦

スエルテ

2008年05月26日 18:20

空気が冷たくて気持ちのいい朝。ホアン、マリアノ、レオと宿を出発。
今日で歩き始めて5日目です。
歩きながら、みんな、私のジョギングシューズが長い道のりに適さないと言って、心配しています。

そのまま歩き続けたら一週間後には病院行きだと、ドクターに保障されたらどうしようもありません。大きな町に着いたらトレッキング・シューズを買うことにしましょう。

12時頃まで、めずらしく4人離れずに進んで来られました。そろそろバルで休憩です。
靴を脱いで、甘いカフェ・コン・レチェ(ミルクコーヒー)とチョリソ入りボカディージョを食べられるそれだけで、ああ、幸せだなぁと感じます。

ドクターのレオは、とても気さくで飄々とした人。アフリカ、タンザニアに6年間赴任していたことがあるそうです。英語とスワヒリ語は得意だけど、スペイン語はからっきしダメ。ビールってスペイン語で何て言うのかって、私に聞くくらいです。

道々、タンザニアでの生活のことを聞きながら歩きます。あちらではみんな貧しくて、生きていくのが精一杯です。毎日毎日遠くまで水を汲みに行くのが仕事の人もいるとか。まるで水を汲むために生きているようです。食事はよく米を食べたそうで、ココナッツ・ミルクで煮るとおいしいそうです。是非お試しあれ。

草原を歩き、小さな村を抜け、小高い丘を越える。今日もこのくりかえしです。
見晴らしのいいところに出ると、ずっとずっと遠くに、いかにも都会らしい大きな街が見えます。ホアンが、あれはパンプローナだと教えてくれました。
ヘミングウェイの「日はまた昇る」で知られた、牛追い祭りで有名な町です。
私たちのルートは、パンプローナは通りません。今回は眺めるだけで我慢ですね。

午後2時を回る頃には、もうおしゃべりをする余裕はありません。集落にさしかかる度に、Aqui?アキ(ここ?) と聞く私に、 Todavia no. トダビア・ノ (まだだよ~)とみんな首を横に振るばかりです。

4時になると、いつの間にかまたひとりになっていました。
小さな村に入り、暑さと疲れでほとんど倒れそうになりながらバルを通りかかると、パラソルの下で、レオが カニャ(生ビール)を飲んでいます。

「キミもどう、一杯!」

巡礼中なのに昼間からアルコール?って叱られそうだけど、一杯のビールは、旅にも人生にも、適度な潤いと活力を与えてくれるものです。

「おじさん、私もカニャください!」

この一口がねぇー、もう今飲まなくていつ飲むのかってくらい、旨かったです!







5時半になり、やっと今日の目的地、プエンタ・ラ・レイナに到着です。
ここは、私たちが歩いて来たハカからのルートと、より有名なサン・ジャン・ピエド・ポオ(フランス)からのルートの合流地点なので、急にザックを背負った巡礼者が増えてきます。

町に入ってすぐ、民間のホテル内にあるアルゲルゲがあり、レオも私も、もうここに宿泊しようって妥協してしまいました。ちょっと大きい町だと、アルベルゲも、公営、教会の管轄、民間経営など、いろいろあるのです。

シャワーの後、ゴム草履に履き替えて、町なかの公営のアルベルゲへ行くと、ホアン、マリアノをはじめ、ペペ、フランシスコもこっちにベッドを確保していました。

おなかが空いたので、レオとホアン、マリアノと街のバルへ。

そこで、リーガ・エスパニョーラ(サッカー・スペイン・リーグ)の、バルセロナvsラシン・サンタンデールをやっていました。
やった!ついにこの時が来ました。
スペイン人のおじさん達と、騒ぎながらサッカーのライブを見るのが憧れだった私。
日本でも時々衛星放送でスペインリーグの放送は見ていました。時差があるので、いつも朝方4時とか5時起きで!

バルサのルイス・エンリケ(当時)やサビオラなど、選手の名前を知っていたり、サッカー用語、サッケ・デ・バンダ!(コーナーキック)とか、フエラ・デ・フエゴ!(オフサイド)とスペイン語で叫ぶので、おじさんコンビとも大いに盛り上がりました。

前半戦が終わる9時過ぎには、私たちは宿に戻らなければなりません。明日も早いし、門限があるからです。

帰り道、とても嬉しい事がありました。マリアノの携帯に、バルセロナに帰ったパコから電話が入ったのです。

「オラ!スエルテ、元気?足は大丈夫?」

「パコ!あなたがいなくて、寂しいよ~」

「僕も、もう一度君達に合流したいよ~!ホアンとマリアノとは仲良くやってる?」

「うん、さっき一緒にサッカー見たよ!」

「そっか、がんばって、サンティアゴまで歩くんだよ!また電話入れるよ」

マリアノと代わると、しばらく楽しげに、この2日間にあった事をパコに話して聞かせていました。

そうか、パコとマリアノはここまで親しくなってたんだ。
二人ともいい人だからね。きっと、スエルテはひとりだから気にかけてやってねとかって言ってくれたんだなぁ。
ああ、有り難い。なんて、みんな親切なのだろう!


      -つづく-


続きを読む
http://zakkaparaiso.naganoblog.jp/e112689.html

関連記事